「夏祭りでやった射的、Scratchで作りたい!」

ある日、7歳の息子(小1)が、そう言ってきました。実は、この少し前まで、学校や友達との遊びで疲れていて、約1か月ほどScratchから離れていました。無理にやらせず、「またやりたくなったら、すぐできるように」とだけ準備して待っていたのですが——自分から、ぽろっと戻ってきたのです。

きっかけは、夏祭りの射的という実体験でした。この記事では、その射的をScratch(スクラッチ=ブロックを組み合わせてゲームやアニメを作る、子ども向けのプログラミング)でゲームにした過程を、正直な制作記としてお伝えします。

  • 子どもが自分でやったこと
  • 親子で一緒に作ったこと
  • そこで使っていた、プログラミングの基礎

「うちの子にも作れるかな?」という保護者の参考になればうれしいです。

※この記事は、ブロックを1つずつ解説する「作り方講座」ではなく、7歳と実際に作った過程の制作記です。具体的なブロックの組み方は、各所の関連記事で紹介しています。記事の最後に「自分でも作ってみたい方へ」の流れもまとめました。

※実装のむずかしい部分は親が手伝いました。「7歳が一人で全部作った」話ではなく、親子で一緒に作った記録として読んでください。


きっかけ:夏祭りの射的を「作りたい」

子どもの「作りたい」は、たいてい実際の体験から生まれます。今回は、夏祭りで射的(しゃてき=鉄砲で的をねらうお店)を楽しんだことがきっかけでした。

「あれ、Scratchで作れる?」——この一言から、制作が始まりました。「作りたい」があると、多少むずかしくても、子どもは前のめりになります。1か月のブランクなど、どこかへ行ってしまいました。


まずは自分で|配置と、鉄砲・玉の絵

最初にやったのは、射的の見た目づくり。ここは、子どもが自分で進めました。

  • 射的のデザインを配置:的やお店っぽい雰囲気を、画面に並べる
  • 鉄砲と玉を描く:本物の鉄砲の絵を見ながら、ペイントエディター(Scratchのお絵かき機能)で、鉄砲と玉を自分で描いた

「本物を見て描く」というのが、いいなと思いました。観察して、それを自分の手で作る——これも立派なものづくりです。絵を描くところは【Scratchのペイントエディターでキャラを自作しよう】でくわしく紹介しています。


一緒に作った|鉄砲がマウスを追いかける・クリックで発射

見た目ができたところで、子どもが止まりました。「玉の出し方と、落とし方が分からない」。ここからは、親子で一緒に作りました。

まず、鉄砲をマウスで動かせるようにしました。

  • 鉄砲がマウスのポインターについていく(マウス追従)
  • クリックしたら、玉を発射する
  • 発射のときに、音を鳴らす

「マウスを動かすと鉄砲もついてくる」だけで、子どもは大喜び。さらにクリックで玉が飛び、音が鳴ると、「射的っぽい!」と一気にテンションが上がりました。マウスで動かす話は【Scratchでキャラを動かす:矢印キーとマウス操作入門】、音のつけ方は【Scratchで音・効果音をつける方法】にまとめています。


「本物っぽく」を、座標と大きさで

射的らしくするために、子どもが「こうしたい」と言ったことを、一緒に形にしました。ここが、この制作でいちばん面白かった部分です。

  • 玉が、だんだん小さくなって、消える

→ 玉の大きさを少しずつ小さくしていき、最後に消えるようにした(遠くへ飛んでいくように見える表現)

  • 的に当たったら、下に落ちていく

→ 当たったら、的のY座標(上下の位置)を少しずつ小さくしていき、最後は下に残るようにした(倒れたように下へ落ちる表現)

射的ゲームのしくみ(親子で作った流れ)
🔫 鉄砲がマウスについていく
 ↓ クリック(「もし〈マウスが押された〉なら」)
💥 玉を発射(音が鳴る)
 ↓ 少しずつ
🎯 玉がだんだん小さくなって消える
 ↓ 的に当たったら
⬇️ 的がY座標を下げて、下へ落ちていく

「少しずつ小さくする」「少しずつ下げる」は、同じ命令を何度もくり返す繰り返し(ずっと・◯回くり返す)で作ります(→【Scratchの繰り返し(ループ)とは?3つの使い分け】)。

クリックで発射。当たった的が、下へ落ちていく
落ちた的は、いちばん下に残る。当たっていない的(バスケットボール)はそのまま

「小さくして消す」も「Y座標で落とす」も、本人の「本物っぽくしたい」という気持ちから出てきたものです。むずかしい言葉は使わなくても、やっていることは座標や大きさの操作そのもの。座標のしくみは【Scratchの座標(x・y)とは?キャラの位置の決め方】でやさしく解説しています。


使っていたのは、基礎ブロックの組み合わせだった

できあがった射的ゲームを見て、あらためて気づいたことがあります。この作品は、プログラミングの基礎の“組み合わせ”でできていたのです。

射的でやったこと使っていた基礎
鉄砲・玉を描くペイントエディター
鉄砲がマウスを追う動き(マウス操作)
クリックで発射条件分岐「もし〜なら」(もし〈マウスが押された〉なら)
発射で音を鳴らす音・効果音
玉を小さくする・的を落とす繰り返し・座標・大きさ

一つひとつは、これまで少しずつ触れてきた基礎です。それが、「射的を作りたい」という目的の下で、自然に組み合わさりました。「作りたい」が、バラバラの知識を1つの作品にまとめてくれる——これが、ものづくりのいちばんの力だと感じます。


親として感じたこと

今回、いちばんうれしかったのは、子どもが自分から戻ってきたことです。

1か月前、疲れてScratchから離れたとき、わたしは「やりなさい」とは言いませんでした。ただ、「またやりたくなったら、すぐできるように」と環境だけ整えて、待っていました(このときの話は【子どもが「飽きた」のではなかった|続ける声かけの話】にも書いています)。

  • 無理にやらせないでよかった
  • 実体験(夏祭り)が、「作りたい」を連れてきた
  • 「玉を消したい」「的を倒したい」という本人の要望が、そのまま学びになった

親が引っぱるのではなく、子どもの「やりたい」を待って、一緒に形にする。時間はかかりますが、これがわが家に合ったやり方だと、あらためて感じました。


自分でも作ってみたい方へ|射的の作りかた(全体の流れ)

「うちも作ってみたい」という方へ、大きな流れだけまとめます。細かいブロックの組み方は、各ステップの関連記事をどうぞ。

  1. 鉄砲・玉・的を用意する(ライブラリから選ぶか、自分で描く)
  2. 鉄砲をマウスについてこさせる(「ずっと」の中で「マウスのポインターへ行く」→動き・繰り返し)
  3. クリックで玉を発射する(「もし〈マウスが押された〉なら」→条件分岐)+発射音
  4. 玉を少しずつ小さくして消す(繰り返し+大きさ)
  5. 的に当たったら下へ落とす(「もし〈玉に触れた〉なら」+Y座標を下げる)

いきなり全部でなく、まず「2. 鉄砲がマウスについてくる」だけ作ってみると、一気に射的らしくなって楽しいです。そこから1つずつ足していきましょう。


まとめ

  • 夏祭りの射的という実体験が、「作りたい」のきっかけになった
  • 配置と、鉄砲・玉の絵は子どもが自分で(本物を見て描いた)
  • マウス追従・クリックで発射・音・玉が消える・的が倒れるを、親子で一緒に作った(実装は親サポート)
  • 使っていたのは、ペイント・動き・条件分岐・音・座標という基礎の組み合わせ
  • 約1か月の休止から、子どもが自分から再開。実体験と「作りたい」が、いちばんの原動力

「何を作らせよう」と親が悩むより、子どもが実際に体験して「作りたい」と思ったものを、一緒に形にする。そのほうが、ずっと夢中になれます。お子さんの「これ作りたい!」が出てきたら、ぜひ一緒に挑戦してみてください。むずかしいところは、親が少し手伝えば大丈夫です。

関連記事:

  • Scratchの当たり判定とは?「触れたら〜」の作り方(射的の「当たったら落とす」を、当たり判定のしくみから解説)