Scratchで自分だけのゲームを作る:6歳が「作りたい」を形にした日
「今日は、自分でゲームを作ってみたい」
これまで他の人の作品をまねして作ってきた子どもが、ある日そう言い出しました。まねから一歩進んで、頭の中にあるものをゼロから形にしたい——そんな気持ちが芽生えた瞬間でした。
この記事では、6歳の子どもがScratch(スクラッチ)で初めて「自分だけのゲーム」作りに挑戦した体験を紹介します。作りたいものをどう形にしていったか、できたこと・難しかったこと・子どもの反応、そして親として気づいたことを正直にお伝えします。
「自分で作りたい」と言い出した日
これまでの数回は、Scratchの公開作品を一緒に眺めて、気に入ったものを「まねして作る」進め方でした。コードを見て、同じようにブロックを並べて、動かしてみる——その繰り返しで少しずつ手応えをつかんできました。
そんなある日、子どもが「自分でゲームを作ってみたい」と言い出しました。
作りたいのは「爆弾をよけるゲーム」。落ちてくる爆弾に当たらないように、キャラクターを左右に動かしてよける——そんなイメージが、頭の中にあるようでした。
まねではなく、自分で考えたものを形にしたい。この「作りたい」という気持ちこそが、いちばんの原動力です。まずはその気持ちを大事に、一緒に作り始めることにしました。
まずは「作りたいゲーム」を絵に描いてもらった
作り始めてすぐ、ひとつ壁にぶつかりました。頭の中のイメージを、言葉だけで共有するのが難しいのです。
「爆弾が落ちてきて」「キャラがよけて」と話してくれるのですが、画面のどこに何があるのか、どう動くのかが、親にもなかなか伝わりません。
そこで、作りたいゲームの絵を紙に描いてもらうことにしました。
- どんなキャラクターが出てくるか
- 爆弾はどこから落ちてくるか
- よける役は画面のどこにいるか
絵にしてみると、子どもの頭の中にあったものが一気にはっきりしました。「ここに爆弾」「下によける人」と指で示しながら説明してくれて、親子で同じ完成図を見られるようになったのです。
いきなりパソコンに向かうより、まず紙に描く。これは大人の仕事でも「設計図を先に描く」のと同じで、作りたいものを形にする近道でした。
爆弾がない!キャラクターを自分で作る
完成図が決まったら、次は登場人物を用意します。Scratchでは、画面に出てくるキャラクターや絵のことを「スプライト」と呼びます。
Scratchには最初から使えるスプライトがたくさん用意されています。ところが、肝心の「爆弾」が見当たりません。ここでまた手が止まりました。
そこで考えたのが、別のスプライトを爆弾に作り変えるという方法です。
- 用意されている「リンゴ」のスプライトを選ぶ
- ペイントエディター(Scratchの中で絵を描いたり塗ったりできる画面)を開く
- リンゴを真っ黒に塗りつぶす
- ヘタの部分に火(導火線)を描き足す
こうして、リンゴが「黒くて、上から火が出ている」——いかにも爆弾らしい見た目に変身しました。「ないものは作ればいい」と気づけたことが、この日の大きな一歩でした。
爆弾ができたら、よける役のキャラクターも選んで、画面に並べます。完成図の絵を見ながら、「ここに置く」と一つずつ配置していきました。
よける役のキャラクターを動かしてみる
登場人物がそろったら、いよいよ動きをつけていきます。
まずは、よける役のキャラクターを左右に動かせるようにしました。プレイヤーが操作して、爆弾から逃げるための動きです。
ここはまだ模倣で覚えたブロックの並べ方を思い出しながらの作業でしたが、自分のキャラクターが左右に動いた瞬間、子どもの表情がぱっと明るくなりました。「動いた!」という実感は、何度味わっても嬉しいものです。
なお、「爆弾に当たったらゲームオーバー」といった当たり判定(キャラクター同士がぶつかったことを見つけて反応させる仕組み)までは、今回は作り込んでいません。そこは次に挑戦する宿題として残しました。
それでも子どもにとっては、自分で考えたキャラクターが、自分の操作で動く——これだけで立派な「自分のゲーム」だったようです。
できたこと・難しかったこと(正直レポート)
今回の挑戦で、子どもが自分でできたことを整理します。
できたこと
- 作りたいゲームを自分で考えた
- 完成のイメージを紙に絵で描いた
- リンゴのスプライトを塗り替えて、爆弾を自作した
- 必要なスプライトを画面に並べた
- よける役のキャラクターを左右に動かした
一方で、難しかったこと・時間がかかったことも正直にお伝えします。
難しかったこと
- 頭の中のイメージを共有すること:絵に描くまでは、言葉だけでは伝わりにくかった
- ないものを用意すること:爆弾のスプライトがなく、作り方を考えるのに苦戦した
- ゼロから考えること:まねと違って、すべて自分で決めるので時間がかかった
まねして作るときは「お手本」がありますが、オリジナルにはそれがありません。だからこそ時間はかかりますが、その分「自分で作った」という手応えは格別です。
子どもの反応
自分のゲームができあがったとき、子どもはとても喜んでいました。
まねして作ったときの「できた!」とはまた少し違う、「自分で考えたものが形になった」という誇らしさが、表情からあふれていました。
完璧に遊べるゲームになったわけではありません。それでも、頭の中にあったものを画面の上に並べて、キャラクターを動かすところまでたどり着いた——その達成感は、本人の中でしっかり「完成」だったのだと思います。
小さな「作れた」の積み重ねが、「次はもっとこうしたい」という次への気持ちにつながっていきます。
模倣とオリジナル、2つを行き来して育つ
今回の体験を振り返って、改めて感じたことがあります。
オリジナル作りに挑戦してみると、まねでは見えなかった「難しさ」がはっきり見えてきました。当たり判定の作り方、思いどおりに動かす方法——まだ手が届かない部分がたくさんあります。
だからこそ次は、また気になった作品をまねして作り、少しずつ理解を深めることにしました。オリジナルで「やりたいこと」を見つけ、模倣で「やり方」をためる。この2つを行き来することが、今のわが家の進め方に合っているようです。
そしてもうひとつ大事にしているのが、ゆっくり進めることです。子どもが気が向いたときにやる。やりたくない日は無理にやらない。そのくらいの距離感のほうが、「プログラミングは楽しい」という気持ちが長続きするように感じています。
体系的に「順番に」学ぶ進め方も有効ですが、6歳のわが子には「作りたいものを先に、必要なことは後から」という流れが、いちばん自然に身についていくようです。
まとめ
- 「自分で作りたい」という気持ちが芽生えたら、模倣からオリジナル制作への大きな一歩
- 作りたいイメージは、まず絵に描くと親子で共有しやすくなる
- ほしいキャラクター(スプライト)がなければ、別のスプライトを塗り替えて自作できる
- 当たり判定など作り込めない部分があっても、「自分で考えて動かせた」だけで立派な達成
- オリジナルで「やりたいこと」を見つけ、模倣で「やり方」をためる——この行き来が学びを深める
次回は、また子どもが興味を持った作品をまねして作りながら、今回難しかった「思いどおりに動かす」コツを少しずつ身につけていきます。
前の記事:Scratchでブロック崩しを作った:まねして学んだゲームのしくみ
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