「コードは毎日書いている。だから子どもに教えるのも問題ないだろう」——そう思っていました。

筆者はシステムエンジニア(SE)として、仕事で日常的にプログラムを書いています。でも、6歳の子どもとScratch(スクラッチ:ブロックを組み合わせてゲームやアニメを作る、子ども向けの無料プログラミング)を続けてみると、「コードが書けること」と「子どもに伝えられること」はまったく別のスキルだと痛感しました。

この記事では、作品をまねするところから自分だけのゲームを作るところまで、ひと通り親子でやってみて気づいた「教え方の5つの学び」を、正直にお伝えします。

最初の2日間の体験記は Scratchを子どもと2日間やってみた:SEエンジニア親の気づき にまとめています。この記事はその「その後」、もう少し続けて見えてきたことの記録です。


1. 「教える」より「一緒に作る」がうまくいった

最初の失敗は、つい「先生」になってしまったことでした。

エンジニアの習性で「もっと効率のいいやり方がある」「順番に基礎から覚えよう」と口を出してしまう。すると、子どもの手はピタッと止まります。やらされている感が出てしまうんですね。

うまく回り出したのは、わたしが隣で一緒に作る側に回ってからでした。

  • 「次どうする?」と聞いて、子どもに決めてもらう
  • わたしは手を動かす担当ではなく、困ったときだけ手を貸す
  • 正解を先に言わず、まず子どものやり方を試させる

基礎を体系立てて教えるより、子どもの「これ作りたい!」を先に叶える。遠回りに見えて、これが一番続きました。


2. 作りたいものは「絵に描く」と伝わる

「自分でゲームを作りたい」と言い出したとき、最初の壁は頭の中のイメージをどう共有するかでした。言葉だけだと、親子でぜんぜん違うものを想像してしまうのです。

そこで、作りたいゲームを紙に絵で描いてもらいました

  • どんなキャラクターが出てくるか
  • 何が起きたらクリアで、何が起きたら終わりか
  • どこをどう動かしたいか

絵にした瞬間、「ああ、こういうゲームが作りたかったんだ」とお互いに分かりました。仕事でいう「設計図」に近い役割ですが、子どもにはお絵かきがいちばんの設計図でした。これは大きな発見でした。


3. まね(模倣)は、立派な学び方だった

Scratchには世界中の人が作った作品が公開されていて、「中を見る(See inside)」で他の人のブロックの並べ方をのぞける仕組みがあります。

うちの子は、気に入った作品をまねして作ることから始めました。

  • ボールが台で跳ね返るゲーム
  • 音楽に合わせてキャラクターが動くアニメ
  • ループ(同じ動きを繰り返す命令)でキャラクターを動かし続ける

最初は「ただのまねでいいのかな?」と思っていました。でも、まねでもちゃんと達成感があり、少しずつ仕組みが見えてくるんです。完成したときの「できた!」という顔は、ゼロから作ったときと変わりません。模倣は、立派な第一歩でした。


4. 「全部わからなくていい」と思えたら楽になった

ブロックには漢字やアルファベットも書かれていて、6歳の子どもが全部を読めるわけではありません。最初は「ちゃんと意味を理解させなきゃ」と気負っていました。

でも、考えを変えました。今わかる必要のないことは、わからないままでいい、と。

  • ブロックは色で見分けて、同じ色を探して並べる
  • 「ずっと繰り返す」が”ループ”だということだけ、軽く伝える
  • 細かい意味は、興味を持ったときに調べればいい

象徴的だったのが、キャラクターを増やしたのに動かず「キャラクターを増やしたのに、動かないよ」と言われた場面。Scratchでは、登場する一つひとつのキャラクター(スプライト)に、それぞれ動きの命令をつける必要があります。これも「うまくいかなかった」という立派な学びで、その場で全部を説明しなくても大丈夫でした。

完璧を求めないと決めたら、親も子もずいぶん気が楽になりました。


5. 子どものペースに合わせると、続く

最後の学びは、続けるコツはペース配分にあるということです。

  • やるのは、子どもが「やりたい」と言ったときだけ
  • 1回は短くてもいい。気が乗らない日はやらない
  • ゆっくり、少しずつ

無理にやらせると、プログラミング自体を嫌いになってしまいます。逆に、子どものペースに任せたら、作品が完成するたびに「すぐに弟やママに見せたい!」と走っていくようになりました。その「見て見て!」が、次もやりたい気持ちの燃料になっています。

ちなみに、3歳の弟も隣で背景やキャラクターを並べて遊び、自分なりにお話を考えています。完成すると「すごい!!!」と大喜び。年齢が違っても、「作る楽しさ」は同じなんだと感じました。


まとめ

エンジニアの親が、6歳の子どもにプログラミングを教えてみて学んだことは、技術よりも関わり方でした。

  • 教えるより、一緒に作る。先生ではなく、となりの仲間になる
  • 作りたいものは絵に描く。お絵かきが子どもの設計図になる
  • まね(模倣)は立派な学び方。達成感があり、仕組みも見えてくる
  • 全部わからなくていい。完璧を求めないと、親子で楽になる
  • 子どものペースに合わせる。「見て見て!」が続ける燃料になる

専門知識があっても、子どもへの伝え方は今も試行錯誤の連続です。でも、肩の力を抜いて「一緒に学ぶ仲間」になれたとき、いちばんうまくいきました。同じように悩む方の、ヒントになればうれしいです。


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