子どもとScratch(スクラッチ=ブロックを組み合わせてゲームやアニメを作る、子ども向けプログラミング)を始めて、約1か月が経ちました。

正直に言うと、始める前は「すぐ飽きるかな」と思っていました。でもこの1か月で、子どもにも、そしてシステムエンジニアである私自身にも、思った以上の変化がありました。

この記事は、何かを教えるためのものではありません。1か月という区切りで、わが家に起きたことを正直に振り返るコラムです。同じように子どもとプログラミングを始めた方、始めようか迷っている方の、ひとつの参考になればうれしいです。


1か月前:見て、まねるだけだった

始めたばかりのころ(1か月前)、6歳の子どもができたのは、こんなことでした。

  • 背景を選んで変える
  • キャラクター(スプライト)を置いて、大きさを変える
  • ほかの人の作品を見て楽しむ

このころ、子どもがよく言っていたのが「これ、どうやって作るの?」でした。人の作品を見て「自分も作りたい」という気持ちが、少しずつ芽生えていた時期だったと思います。

この時点では、自分でコードを組むというより、お手本を見てまねるのが中心でした。


6歳がScratchを1か月続けてできるようになったこと

最初にお伝えしておくと、毎日やっていたわけではありません。ペースは週に2〜3回、1回あたり15〜30分ほど。「気が向いたとき」にやる、ゆるい感じです。それでも、1か月たつとできることは目に見えて増えました。

まず、1か月前と今を並べてみます。

1か月前
背景を選んで変える自分でゲームを考える
人の作品を見て楽しむオリジナル作品を作る
お手本をまねる自分で試してみる
操作するだけ紙に設計図を描く

具体的には、こんな流れで進みました。

  • お手本をまねてブロックを並べる
  • 「ずっと繰り返す(ループ)」でキャラクターを動かし続ける
  • 「もし〜なら(条件分岐)」で反応するしくみを、まねして作る
  • 自分のアイデアで「爆弾よけ」のオリジナルゲームを作る
  • クローン(同じキャラを複製するしくみ)で、ブロックが増える様子を体感する
  • マウスでパドル(板)を動かして遊ぶ

もちろん、むずかしいしくみは私(親)が手伝っています。当たり判定(ぶつかったかを調べるしくみ)などは、まだ一緒に作る段階です。それでも、「まねる」から「自分で作りたいを形にする」へ、軸が移ってきたのを感じます。


印象に残っている3つの瞬間

数字の上達以上に、心に残った瞬間がありました。

① 紙に「設計図」を描いた日

ある日、子どもが作りたいゲームを自分で紙に描いて見せてくれました。

描かれていたのは、こんな絵でした。画面の上から爆弾が落ちてくる。下にいるキャラクターを左右に動かしてよける。当たったらゲームオーバー——いわゆる「爆弾よけ」です。動く向きを矢印で描き、ぶつかる様子も線で表していました。

おどろいたのは、だれにも教わっていないのに、ゲームを「ルール」として紙に書き出していたこと。これは、私たちエンジニアがプログラムを作る前に頭の中でやっている「設計」と、とてもよく似ています。コードを書く前に、まず「どう動くか」を考える——その入り口に、6歳が自分からたどり着いていました。技術的なことは何も教えていないのに、です。いちばん驚いた瞬間でした。

②「やって」と言われた日

一方で、うまくいかないこともありました。むずかしいしくみにぶつかると、「(パパが)やって」と言って手が止まる。まだ早かったかと反省した日もあります。子どもの「やりたい」と「できる」の間には、まだ距離があります。

③ うまく動かず、もどかしそうにした日

マウスでパドルを動かすゲームで、「途中で動かなくなる」と、もどかしそうにしていたこともありました。思いどおりにならない経験もまた、この1か月の大事な一部でした。


SEの親として学んだこと

仕事で毎日コードを書いている私ですが、子どもへの教え方は、いまも試行錯誤中です。この1か月で、いくつか自分の考えが変わりました。

  • 「教える」より「一緒に楽しむ」:正しく説明しようとするより、隣で一緒に「できた!」を喜ぶ方が続く
  • 「できた体験」を先に:むずかしいしくみは親が補ってでも、「動く・見える・楽しい」を先に味わってもらう
  • 計画より「やりたい」を優先:こちらが順番を決めるより、子どもが「気が向いたとき」にやる方が、ずっと前に進む

「ゆっくりやっていく。子どもが気が向いたときにやる」——これが、わが家にはいちばん合っているようです。

ちなみに最近は、4歳の下の子も「お兄ちゃんと同じことがしたい」と、ScratchJr(年少さん向けのScratch)を触り始めました。きょうだいで広がっていくのも、うれしい変化です。


親が想像していた変化と、実際に起きた変化

始める前、私が想像していた「成長」は、正直こういうものでした。

  • プログラミングの知識が増える
  • ブロックの使い方を覚える

でも、実際に起きた変化は、少し違いました。

  • 作りたいものを自分で考えるようになった
  • 頭の中のイメージを紙に描くようになった
  • うまくいかなくてもやり直すようになった

知識そのものより、「自分で作る」ための姿勢が育っている。この対比は、始める前の私には見えていませんでした。


これからの1か月

次の1か月で何をするかは、まだ決めていません。変数(得点を覚えるしくみ)に挑戦してもいいし、新しいゲームを作ってもいい。

ただ、ひとつだけ決めているのは、急がないこと。「プログラミングを学ばせる」より、「もっと作りたい」という気持ちが続くことを、いちばん大切にしたいと思っています。その先にどんな道があるかは、子どもの興味が見えてきたときに、一緒に選べばいい。


まとめ

  • Scratchを始めて約1か月。子どもは「見てまねる」から「自分で作りたいを形にする」へ変わってきた
  • できること(ループ・条件分岐・オリジナル制作・クローン)は増えたが、むずかしいしくみはまだ親が補う段階
  • 紙に設計図を描いた日、「やって」と言われた日、もどかしそうにした日——成功も、つまずきも、どちらも大事な1か月だった
  • SEの親として学んだのは「教えるより一緒に・できた体験を先に・やりたいを優先」
  • これからも急がず、「もっと作りたい」が続くことを大切にしたい

1か月前の私は、「プログラミングを覚えてほしい」と思っていました。でも今は、少し違います。

紙に設計図を描いたり、思いどおりに動かそうと試行錯誤したりする姿を見ていると、学んでいるのはプログラミングだけではないと感じます。Scratchを続けてよかったと思ういちばんの理由は、コードを覚えたことではなく、「自分で作りたい」を形にしようとする時間が増えたことかもしれません。

子どもとのプログラミングは、上達の記録であると同時に、親自身の学びの記録でもありました。次の1か月で、子ども(と私)がどう変わるのか。また区切りのときに、正直に書きたいと思います。

関連記事