「アプリって何?」子どもに聞かれたときの答え方
「アプリって何?」
わが家の6歳が、ある日こう聞いてきました。エンジニアの私(筆者)が、自分で作ったアプリを妻に使ってもらおうと説明していたのを、横で見ていたときのことです。
仕事でアプリを作っている親でも、いざ子どもに「アプリって何?」と聞かれると、うまく答えられないものです。実際、最初の説明のしかたを失敗して、子どもをかえって混乱させてしまいました。
この記事では、アプリとは何かを、わが家での失敗と、最後に通じた言い方をまじえて、やさしく説明します。同じように「アプリって何?」と聞かれて困っている方の、ヒントになればうれしいです。
※「アプリ」「Scratch」などの言葉は、記事の中でひとつずつ、身近な例にしながら説明します。むずかしい用語を覚える必要はありません。
きっかけ:「アプリって何?」と聞かれた
質問のきっかけは、私が自分で作ったアプリを、妻に「こうやって使うんだよ」と説明していた場面でした。それを横で見ていた6歳が、ふと「アプリって何?」と聞いてきたのです。
言われてみると、「アプリ」は毎日のように耳にする言葉なのに、子どもにわかる言葉で説明するのは、とてもむずかしいものです。私はここで、つい説明のしかたを間違えてしまいました。
最初の失敗:「ゲームもアプリ」と言ったら逆に混乱した
私は最初、子どもがよく知っているものから入ろうと思い、こう言いました。
「ゲームもアプリだよ」
ところが、これがかえって誤解の入り口になりました。この一言で、子どもの中に「アプリ=ゲーム」というイメージが強くできてしまったのです。
その証拠に、「いつもやっているScratch(スクラッチ)もアプリだよ」と続けると、子どもはこう言い返しました。
「Scratchはアプリじゃないよ。ゲームじゃないもん」
ここで「なるほど」と思いました。子どもの頭の中では、こんな計算が起きていたのです。
- 「ゲームもアプリ」と聞いた → アプリ=ゲームだと思った
- Scratchはゲームを“作る”もので、ゲームそのものではない
- だから「ゲームじゃない=アプリでもない」と逆算してしまった
💡 Scratch(スクラッチ)とは?
ブロックを組み合わせてゲームやアニメを作れる、子ども向けのプログラミングアプリです。
身近な「ゲーム」から入ったのは良かったのですが、1つの例だけで説明すると、その例=全部だと思い込んでしまう。これが最初の失敗でした。
通じた説明:「スマホで使うものは、ぜんぶアプリ」
そこで作戦を変えて、例をどんどん増やしてみました。
私「ゲーム以外にもアプリはあるよ。YouTubeもアプリだよ」
子「じゃあ、インスタもアプリ?」
私「そうだよ。スマホにあるのは、だいたいアプリだよ」
子「カメラも?」
私「カメラもアプリだよ」
こうして「これも?」「これも?」と確かめていくうちに、子どもは自分で「アプリ」の範囲を広げていきました。最後にいちばんしっくり来たのは、とてもシンプルな言い方でした。
「スマホで使っているものは、ぜんぶアプリだよ」
むずかしい例えを考えるより、子どもが知っているものを並べて、「ぜんぶ仲間だよ」と示すほうが、ずっと早く伝わったのです。
💡 大人向けの、ちょっと正確な話
子どもに説明するなら「スマホで使うものは、だいたいアプリ」で十分です。ただし正確に言うと、ホームページ(サイト)を見るための「ブラウザ」というアプリを通して、アプリではない“ページ”を見ていることもあります。この「アプリとホームページのちがい」は、別の記事でくわしく説明します。
アプリってなに?──機械の中の「お手伝いさん」
子どもに通じたあとで、もう少しだけ「アプリって結局なんなのか」を、やさしい言葉でまとめてみます。
アプリとは、ひとことで言うと「機械の中にいる、ひとつのお仕事が得意な“お手伝いさん”」です。
- YouTube=動画を見せてくれるお手伝いさん
- カメラ=写真をとってくれるお手伝いさん
- ゲーム=一緒に遊んでくれるお手伝いさん
- 地図=道を案内してくれるお手伝いさん
スマホやタブレットの画面に並んでいる小さな絵(アイコン)は、いわばお手伝いさんの顔です。タップする(指で軽くふれる)と、「来て!」と呼んでいることになります。
ポイントは、「どんな見た目か」ではなく「何をしてくれるか」でアプリかどうかが決まるということ。だから、見るもの・遊ぶもの・写すもの…いろいろあっても、ぜんぶ「アプリ」という仲間なのです。
パソコンのアプリ・自分で作るアプリ
「スマホで使うものはぜんぶアプリ」は、子どもに伝えるにはとても良い言い方です。ただし、これだけだと取りこぼすものがあります。それが、最初に子どもが引っかかったScratchと、私が作っていた自作アプリです。
実は、アプリはスマホの中だけにいるわけではありません。
- アプリは、スマホ・タブレットだけでなく、パソコンの中にも住んでいます
- だから、パソコンで動かすScratchもアプリです(ゲームを“作る”ためのお手伝いさん)
ここで、Scratchが「ゲームじゃないからアプリじゃない」と思われた理由も、やさしく解けます。アプリには、楽しみ方が大きく2つあるのです。
- 使って楽しむアプリ:YouTube(見る)・ゲーム(あそぶ)など、できあがったものを使う
- 作って楽しむアプリ:Scratch(ゲームを作る)など、自分で新しいものを作る
「Scratchはなんだかちがう気がする」という子どもの感覚は、まちがいではありません。Scratchは“作るほうのアプリ”だから、使うだけのアプリとは手ざわりがちがうのです。でも、どちらも「何かをするためのお手伝いさん」なので、同じアプリの仲間です。
そして、最初のきっかけにも戻れます。私が妻に見せていた自作アプリ──あれは、私が「妻のある作業を楽にするためのお手伝いさん」を、自分で作ったものでした。アプリは、お店からもらってくるだけでなく、自分で作ることもできるのです。
子どもが次に「だれが作るの?」「どうやって作るの?」と聞いてきたら、それはプログラミングへの入り口です。Scratchは、その「作る」を子どもでも体験できるアプリです。
親として感じたこと:子どもは「例」から学ぶ
今回いちばん勉強になったのは、親である私のほうでした。
仕事柄、私は「アプリとはこういうものだ」と、つい正確に・まとめて説明しようとしてしまいます。実際この日も、頭の中では「お手伝いさん」「使う・作る」といった例えを用意していました。でも、子どもに本当に効いたのは、そういう整った説明ではなく、身近な例をただ並べることでした。
- 1つの例(ゲーム)だけだと、「それ=全部」と思い込んでしまう
- 例を増やす(YouTube・インスタ・カメラ)と、子どもが自分で共通点を見つけていく
- 大人がまとめてあげなくても、子どもは例の中から「ぜんぶ仲間だ」とたどり着ける
「うまく説明しよう」とするより、「いっしょに例を集めよう」というスタンスのほうが、子どもには伝わる。改めてそう感じた出来事でした。
まとめ
- 子どもに「ゲームもアプリ」と1つの例だけ伝えると、「アプリ=ゲーム」と思い込み、「ゲームじゃないScratchはアプリじゃない」と誤解することがある
- 例を増やす(YouTube・インスタ・カメラ…)と、子どもが自分で範囲を広げて理解していく
- いちばん通じた言い方は「スマホで使っているものは、ぜんぶアプリ」
- アプリ=機械の中の「ひとつのお仕事が得意なお手伝いさん」。見た目ではなく「何をしてくれるか」で決まる
- アプリはスマホだけでなくパソコンの中にもいる。Scratchも「作るほうのアプリ」。アプリは自分で作ることもできる
- 子どもは「例」から学ぶ。うまく説明するより、いっしょに例を集めるほうが伝わりやすい
子どもの「なんで?」は、ITのしくみをやさしく学ぶ入り口です。「アプリって何?」も、身近な例を並べていけば6歳に伝わりました。お子さんに聞かれたとき、この記事を思い出してもらえたらうれしいです。
この記事は、「子どもの疑問から学ぶ ITのしくみ」シリーズの1本です。子どもがぶつかる『なんで?』を、体験が生まれるたびに、ひとつずつやさしく解説していきます。ほかの「なんで?」は、下の関連記事からどうぞ。
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