「せっかく作ったのに、保存できない!」

子どもがそう言ってきたら、親としてはひやりとしますよね。時間をかけて作った作品が消えてしまうかも——そう思うと、あせります。

先に、いちばん大事なことをお伝えします。

Scratch(スクラッチ=ブロックを組み合わせてゲームやアニメを作る、子ども向けのプログラミング)で「保存できない」ときの多くは、サインイン(ログイン)が切れていることが原因です。

そして厄介なことに、分かりやすいエラーメッセージが出ません。わたしが確認した環境(2026年7月時点)では、保存できない状態でも警告は表示されず、メニューから「直ちに保存」が消えるだけでした。だから原因が分からず、「保存できない」と検索することになります。

この記事では、実際に画面を確認しながら、

  • まず作品を失わないための「緊急退避」
  • 保存できないときの原因の見分け方と直し方
  • ログインできないときの原因
  • 学校で配られたアカウントを使っているときの注意

を、順番にお伝えします。

※画面の表示は2026年7月時点のものです。Scratchは改良が続いているため、表記が変わることがあります。


まず最優先:作品を失わないための「緊急退避」

⚠️ 先に読んでください:あわてて「更新(F5)」を押さないで
保存できないと、つい画面を更新したくなります。でも、まだ保存されていない内容が失われるおそれがあります。
ページを閉じるのも同じです。まず下の「コンピューターに保存する」で作品を手元に残してから、更新や再読み込みをしてください。

原因を調べるより先に、今の作品を手元に保存しておきましょう。これをしておけば、何が起きても作品は失われません。

手順

  1. 画面左上の「ファイル」をクリック
  2. コンピューターに保存する」を選ぶ
  3. パソコンに作品のファイル(`.sb3` という形式)が保存されます

ここが大事なところです。この「コンピューターに保存する」は、サインインしていなくても使えます。 つまり、保存できなくて困っている状態でも、作品を手元に残すことはできるのです。

あとからサインインし直して、「ファイル」→「Load from your computer」(英語表記のまま。「コンピューターから読み込む」の意味)で読み込めば、続きから作業できます。

💡 まず退避、それから原因調べ。この順番なら、あせらずに対処できます。


症状と原因の早見表|どこを読めばいい?

作品を退避できたら、原因を探します。今の症状から、読むところを選んでください。

いまの症状よくある原因読むところ
「ファイル」に「直ちに保存」がないサインインが切れている(最多)原因1
メニューが「リミックス」になっている他の人の作品を開いている原因2
ネットが不安定・他のサイトも開けないインターネットが切れている原因3
サインインできない(画面に赤やオレンジの表示)ユーザー名かパスワードの間違いログインの章
保存はできるが「共有」だけできない保護者の承認がまだ補足
学校で配られたアカウントを使っているアカウントが一時的な場合がある補足(学校のアカウント)

迷ったら、まず「ファイル」メニューを開いてください。 そこに何が並んでいるかで、原因の大半が分かります(次の章で説明します)。


「保存できない」の見分け方|30秒でわかる方法

Scratchは、保存できない状態でもエラーメッセージを出しません。そのかわり、メニューの中身が変わります。ここが見分けるポイントです。

ファイル」メニューを開いて、「直ちに保存」があるかどうかを見てください。

つまり——

  • 「直ちに保存」がある → サインインできています(保存できる状態)
  • 「直ちに保存」がないサインインが切れています(これが原因)

画面の右上を確認するより、この方法のほうが確実です。子どもにも「ファイルを開いて、直ちに保存がある?」と聞くだけで確認できます。


保存できないときの原因と直し方

原因1:サインインが切れている(いちばん多い)

上の方法で「直ちに保存」がなければ、これが原因です。作業している間に、サインインの状態が切れてしまったのです。

直し方

  1. 別のタブでScratchのサイトを開き、サインインし直す
  2. 作品を編集していたタブに戻る
  3. 「ファイル」を開いて、「直ちに保存」が出ているか確認する
  4. 出ていれば、保存する

それでも「直ちに保存」が出てこないときは、次の順で進めてください。

  1. まず「ファイル」→「コンピューターに保存する」で、作品を手元に残す
  2. そのうえで、ページを更新するか、いったん閉じてサインインし直す
  3. 「ファイル」→「Load from your computer」で、退避したファイルを読み込む
  4. 続きから作業して、「直ちに保存」で保存する

⚠️ 手元に保存する前に、タブを閉じたり更新したりしないでください。編集内容が失われることがあります。

原因2:他の人の作品を開いている

他の人が作った作品を開いて編集している場合、そのまま上書き保存することはできません。これは不具合ではなく、他人の作品を勝手に書き換えられないようにする、正しい動作です。

このとき、ファイルメニューはこうなります。

  • 新規/リミックス/Load from your computer/コンピューターに保存する

リミックス」(他の人の作品をもとに、自分の作品として作り直すこと)を押すと、自分のコピーができます。そこからは、自分の作品として保存できます。

子どもが他の人の作品をまねして学ぶのは、とても良い学び方です。「リミックス」は、そのための正式なしくみです。

原因3:インターネットがつながっていない

Scratchのブラウザ版は、インターネットにつながっていないと保存できません。他のサイトが開けるか確認してみてください。

(学校のタブレットでWi-Fiにつながらない場合は、【学校タブレットがつながらない?Wi-Fiのつなぎ方を教える】もあわせてどうぞ)


ログインできないときの原因と直し方

原因1:ユーザー名かパスワードが違う

パスワードを間違えると、こう表示されます。

ユーザー名またはパスワードが間違っています

ここで大事なのは、「どちらが間違っているか」は教えてくれないということです(安全のためです)。ですから、ユーザー名とパスワードの両方を確認する必要があります。

子どもがつまずきやすいポイント:

  • 大文字と小文字が違う(Scratchは区別します)
  • 似ている文字を取り違えている(`l`(エル)と `1`(イチ)、`O`(オー)と `0`(ゼロ)など)
  • ユーザー名をうろ覚えで入力している

原因2:パスワードを忘れた

サインイン画面の「ヘルプが必要ですか?」から、パスワードの再設定に進めます。登録したメールアドレスに再設定の案内が届きます。

  • メールが届かないときは、迷惑メールフォルダを確認
  • 登録したメールアドレスが合っているかも確認(子どもが自分で登録した場合、親のアドレスでないことがあります)

原因3:学校のアカウントを使っている

学校で配られたアカウントは、先生が管理していることがあります。パスワードの変更や再設定が自分ではできない場合は、学校に確認しましょう。


なぜ「保存」と「ログイン」はつながっているのか

ここまで読んで、「保存の話なのに、なぜログインが出てくるの?」と思われたかもしれません。

理由は、Scratchの作品が、インターネットの向こうにある「あなたの作品置き場」に保存されるしくみだからです。

  • アカウント=インターネットの向こうにある、自分専用の倉庫
  • サインイン(ログイン)=その倉庫を開ける

鍵が外れている(サインインが切れている)と、倉庫に入れません。だから保存できないのです。

つまり、「保存できない」の多くは、実は「ログインが切れている」問題なのです。この2つが同時に起きるのは、こういう理由です。


補足:学校で配られたアカウントを使っているとき

Scratchのホーム画面に「Student accounts are temporary.(学生アカウントは一時的なものです)」という案内が出ることがあります。

学生アカウントとは、学校の授業で先生が作ったアカウントのことです。Scratch公式によると、クラスが終わったり、先生がScratchを使わなくなったりすると、自動的に閉じられます

まず確認:うちの子は学生アカウント?

プロフィール画面を開いて、ユーザー名のすぐ下を見てください。

  • Student of:(クラス名)」と表示されている → 学生アカウントです
  • 何も表示されていない → 通常のアカウントです(あわてなくて大丈夫)

※公式サイトから自分で作ったアカウントは、通常のアカウントです(登録のときに学生かどうかを選ぶ画面はありません)。ホーム画面のお知らせは全体向けに表示されるものなので、それだけで心配する必要はありません。

学生アカウントが閉じられると、どうなる?

アカウントは削除ではなく「閉じられる」ので、作品の扱いは次のように分かれます。

作品の状態閉じられたあと
共有していない作品アクセスできなくなります(いちばん注意したいところ)
共有ずみの作品公開されたまま残ります。ただし編集も、公開の取り消しもできません

大事な作品を残すには(公式が案内している方法)

学生アカウントを使っていて、作品を残したい場合は、クラスが終わる前に次の手順で移しておきましょう。これはScratch公式が推奨している方法です。

  1. 学生アカウントで作品を開き、「ファイル」→「コンピューターに保存する」(`.sb3` ファイルができます)
  2. 通常のアカウントを作る(【Scratchアカウントの作り方|親が安全に登録する手順】)
  3. 通常のアカウントでサインインし、新しいプロジェクトを作る
  4. 「ファイル」→「Load from your computer」で、1で保存したファイルを読み込む

💡 この記事の最初に紹介した「緊急退避」と、まったく同じ操作です。作品を手元に残しておけば、アカウントが変わっても持ち運べます。

なお、クラスが終了した学生アカウントは、通常のアカウントへの変換を申請できるとも案内されています(Scratchのお問い合わせフォームから、ユーザー名や先生の名前などを伝える必要があります)。

補足:作品を「共有(公開)」できないときは

保存はできるのに共有(公開)だけができない場合、こんな表示が出ていることがあります。

プロジェクトを共有するには、保護者が「アカウントの承認」をクリックする必要があります

これは故障ではありません。子どもが作品を世界に公開する前に、保護者の確認を求めるしくみです。登録したメールアドレス(保護者のもの)に届いている案内から承認すると、共有できるようになります。

ログインや保存はできるのに共有だけできない——このときは、まずメールを確認してみてください。


二度と困らないための予防

同じことで困らないために、家庭でできることをまとめます。

  • こまめに保存する:作業の区切りごとに「直ちに保存」。子どもと「ひと区切りついたら保存」を習慣に
  • 大事な作品は手元にも保存:「コンピューターに保存する」でバックアップ
  • ときどきサインイン状態を確認:長く作業する日は、途中で「ファイル」を開いて「直ちに保存」があるか見る
  • アカウント情報は親が管理:ユーザー名とパスワードを、親が控えておく(→【パスワードを「鍵」と覚えていた|やさしい比喩は定着する】)

親としてひとこと

子どもが「消えた!」とあわてているとき、いちばん効くのは、親が落ち着いていることだと思います。

まず、「だいじょうぶ」と言ってあげてください。 そのあとに「一緒に見てみようか」と画面をのぞく。それだけで、子どもの表情はずいぶんやわらぎます。

原因が分からなくても大丈夫です。この記事の最初の手順(「コンピューターに保存する」)をやっておけば、作品は守れます。まず守って、それから一緒に直す——その姿を見せることが、いちばんの学びになるかもしれません。

うまくいかないことも、プログラミングの一部です。あわてない大人がそばにいる——それだけで、子どもは安心して挑戦できます。


まとめ

  • あわてて更新(F5)やタブを閉じない。保存前の内容が失われることがあります
  • 「保存できない」ときは、まず「コンピューターに保存する」で作品を退避(サインインしていなくても使えます)
  • 見分け方は「ファイル」に「直ちに保存」があるか。なければサインインが切れています(エラーは出ません)
  • 直し方は、別タブでサインインし直してから保存
  • 他の人の作品を開いていると、メニューが「リミックス」になる(=コピーを作れば保存できる)
  • ログインできないときは「ユーザー名またはパスワードが間違っています」。どちらが誤りかは示されないので両方確認
  • 学校で配られた「学生アカウント」はクラス終了で閉じられる(プロフィールの「Student of:」で見分けられる)。共有していない作品は見られなくなるため、大事な作品は手元にも保存を

作品が消えるかもしれない——その不安は、親も子どもも同じです。でも、しくみが分かっていれば落ち着いて対処できます。「まず退避、それから原因調べ」。この順番だけ覚えておいてください。

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